CBDは糖尿病に効果があると聞くことがありますが、本当なのでしょうか。CBDの効果や安全性、糖尿病の症状や原因、CBDの糖尿病やその合併症に対する効果や研究を解説します。
CBDとは?
CBDについて聞いたことはあるけど、どんな成分なのかはよくわかっていないという方のために、まずはCBDがどういったものなのかを紹介します。
CBDが持つ多くの薬理作用
CBD(カンナビジオール)とは、大麻草に含まれる天然成分です。麻にはカンナビノイドという成分が含まれており、その数はなんと100種類以上もあるのですが、CBDはその中でも最も注目を集めている成分です。
CBDは抗酸化作用や抗炎症作用、疼痛緩和や抗不安作用など、多くの薬理作用を持っているのですが、THCとは違いハイになる作用や依存性がないため注目されているのです。
大麻と聞いて違法ではないのかと心配される方も多いと思いますが、ハイになる作用や依存性もないCBDは茎や種子から抽出されたものであれば大麻取締法でも規制されることはありません。
とはいえ、詳しく知らないと安心できないという方もいらっしゃると思いますので、法律・規制に関する記事を書いているので、参考にしてください。
CBDは大麻から抽出されるということもあり、CBDに関する法律が気になる人も多いと思います。本記事では、CBDが関係する法律である大麻取締法・麻薬及び向精神薬取締法・薬機法(旧・薬事法)について解説し、合法・違法になるケースを徹底解説いたし[…]
CBD製品の種類
そんな注目されているCBDですが、多くの商品が販売されています。CBDの摂取方法として舌下摂取・経口摂取・吸入摂取・経皮摂取の大きく4つがあります。それぞれでCBD製品に多くの種類があるのでご紹介します。
- 舌下摂取:舌の下からCBDを吸収する方法。製品としてはCBDオイルが主。
- 経口摂取:食べることで腸からCBDを吸収する方法。製品としてはCBDグミやクッキーやチョコレート、ドリンクなど多種多様。
- 吸入摂取:CBDを含む蒸気を肺から吸収する方法。CBDリキッドやCBDワックス、ベイプなどが製品としてある。
- 経皮摂取:CBDを皮膚から吸収する方法。CBDクリームやCBDロールオンが代表的な製品。
摂取方法ごとの代表的な製品でも、これだけの数があります。
他にも、CBDの原料のタイプや濃度、CBD以外にどういった成分が入っているのかなど、本当に多くの種類のCBD製品があるので、是非自分にあった製品を探してみてください。
CBDといっても様々な種類があることをご存知でしょうか。CBDアイソレートやブロードスペクトラムのCBD、フルスペクトラムのCBDといったCBDの原料タイプの種類について解説し、CBD製品の種類について使い方別にご紹介します。CBDとは[…]
CBDに重大な副作用はない
健康に良いとはいっても、大麻から抽出されるので副作用も心配ですよね。
CBDには重大な副作用はなく、乱用の可能性や依存の可能性もないと言われています。
2017年にWHOはCBDの安全性に関して公式な見解を示しており、抑うつや疼痛緩和の薬理作用について有効であると示しただけではなく、乱用や害を及ぼさないという旨の内容を発表しています。
しかし、CBDの成分自体は安全である一方で、CBD製品を扱う悪質な事業者もいるので、商品を購入するときは成分分析が行われているかなどを特に注意する必要があります。
CBDは健康に効果があると言われていますが、人体への害はないのでしょうか。はじめてCBDを使う方のために、CBD自体の中毒性や副作用、CBD製品で注意するべきことを根拠となる論文付きで解説します。CBDとは?[…]
糖尿病について解説
CBDの薬理作用や安全性がわかったところで、糖尿病についても解説していきます。
糖尿病とは?種類ごとの症状と原因
糖尿病とは体内でインスリンが作れなくなったり、正常に働かなくなったりすることで、血糖が増えてしまう病気です。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2016年で1,000万人の日本人が糖尿病の可能性が高いとされるほど非常に多くの人が悩んでいます。
私たちの体では、インスリンをはじめとした様々なホルモンの働きで調整されることによって、血液中の糖の濃度が常に調整されています。
注射でもよく聞くインスリンは、通常は膵臓のベータ細胞で作られ、血液中のブドウ糖を筋肉などに送り込むことでエネルギーとして使い血糖値を調整するのです。しかし、そのインスリンが出なくなったりすることで、体内では血糖値を下げられなくなってしまうのです。
糖尿病には大きく分けると1型糖尿病と2型糖尿病があります。また他にも妊娠中になる妊娠糖尿病、その他の特定の失火による糖尿病などがあります。
2型糖尿病の症状・原因・治療薬
2型糖尿病は、インスリンの量が少ない(インスリン分泌不全)もしくはインスリンが作用しない(インスリン抵抗性)ことによって、血糖が高くなってしまうのです。
最も一般的なのがこの2型糖尿病であり、糖尿病を患う方のうち9割ほどが2型糖尿病になります。基本的には年代とともに発症する可能性が高くなり、40過ぎに発症する場合がほとんどと言われています。
2型糖尿病では、初期症状はほとんどなく、少しずつ症状が出てくることが多いです。疲労感や喉の乾きと頻尿、皮膚の乾燥、手足の感覚低下やチクチクした痛み、体重の減少などの症状があります。
2型糖尿病の原因は、遺伝や年齢、食べ過ぎ飲み過ぎ運動不足などの生活習慣が挙げられますが、はっきりと原因はわかっていないです。家族に糖尿病の方がいる場合は、発症リスクが高いため、生活習慣により一層気をつける必要があります。
2型糖尿病の治療は、基本的には食事療法・運動療法の2つを行います。食事療法とは食事として体内に入ってくるブドウ糖の量を調整し、血糖値をコントロールしていく方法です。運動療法は運動することで血液中の糖が筋肉などに取り込まれやすくなり、利用を促進させることでコントロールしていく方法です。
2,3ヶ月ほど食事療法と運動療法を続けて症状が改善されない場合には、薬物治療(インスリン注射や経口血糖降下剤など)に切り替えます。
1型糖尿病の症状・原因・治療薬
インスリン依存型とも呼ばれる1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓の膵島β細胞を破壊してしまうことで起きる病気です。
2型糖尿病とは違い、症状は急激に現れることが多く、喉の乾きや頻用、急激な体重減少や疲労感が挙げられます。
β細胞が破壊される原因はよくわかっていないのですが、免疫反応が正しく働かずに自分の細胞を攻撃してしまうことが原因として考えられています。
インスリンを作ることができなくなるため、インスリン注射によって治療していきます。
参考:
糖尿病とは?原因と症状(初期症状)| 知りたい!糖尿病
糖尿病とは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル
2型糖尿病で使われるお薬について|医療コラム|新百合ヶ丘総合病院
糖尿病の危険性
特に2型糖尿病はゆっくりと症状が出てくるため、自覚症状がないことが多いです。しかし、糖尿病は様々な合併症を引き起こすと言われており、死につながる病気も引き起こすということがわかっているので、気をつける必要があります。
糖尿病の合併症としては、3大合併症と言われる神経の障害(糖尿病神経障害)・目の障害(糖尿病網膜症)・腎臓の障害(糖尿病腎症)が主として挙げられます。また、動脈硬化の原因となり、脳卒中や心臓病を引き起こします。
- 糖尿病神経障害:手や脚に痛みやしびれが左右対称に現れる合併症
- 糖尿病網膜症:高血糖で網膜の血管が蝕まれる合併症
- 糖尿病腎症:高血糖が腎臓機能を低下させる合併症
CBDは糖尿病に効果はある?
CBDと糖尿病について改めて解説してきました。そろそろ本題のCBDが糖尿病に効果があるかどうかを解説します。
CBDはECSによって多くの効果が
私たちの体にはエンドカンナビノイドシステム(ECS)という体内の恒常性を保つために多くの機能を調整しています。
そもそも、体内にはエンドカンナビノイドという自然と作られるカンナビノイドがあります。アナンダミドや2-AGというエンドカンナビノイドは、カンナビノイド受容体(CB1,CB2)と結びつき、免疫細胞に体の機能を調整する指示を与えるのです。
しかし、ストレスや老化などの影響で、エンドカンナビノイドが作られなくなってしまい、体に不調が出てくるのです。
そこでCBDなどの植物性のカンナビノイドを摂取することで、ECSを正常化し、多くの健康への効果があるのです。
ECSは例えば食事や睡眠、免疫機能と深く結びついています。そのため、食欲を抑制したり、睡眠の質を高めてくれたり、抗炎症作用をもたらしてくれたりします。
CBDは健康面へのメリットから注目されていますが、実際に健康にどのような効果があるのでしょうか。CBDについてや期待される効果、CBD商品のリスクについて根拠となる論文付きで解説し、さらにCBD商品の選び方やオススメ商品をご紹介します。[…]
まだ糖尿病にCBDが効くとは言えない
様々な症状にCBDが有効であるという研究が多数発表されています。
しかし、糖尿病に関して効果があるかどうかということはまだ明確にわかっていないのが現状です。
糖尿病とCBDに関する論文や研究内容がいくつか発表されているので、ご紹介します。
CBDがマウスの糖尿病発症率を低下
2006年にイスラエルのハダサ大学病院でL Weissらによって発表された内容によると、CBDが糖尿病の発症率を低下させたということが示されました。
この実験では非肥満糖尿病のマウスが使われましたが、無治療のマウスでは86%の糖尿病発症率だったのに対して、CBDで治療したマウスでは30%まで有意に減少されたことが示されました。
また、糖尿病に関係するインスリンは膵臓で作られますが、CBDを投与したマウスは膵炎(膵臓の急性炎)が有意に減少することも示されました。
結果として、CBDはTh1細胞とTh2細胞という免疫に関する細胞の働きを調整してサイトカインの産出を抑制し、糖尿病の発症が抑制されるということが示唆されました。
原文:Cannabidiol lowers incidence of diabetes in non-obese diabetic mice
2型糖尿病患者におけるCBDとTHCVの有効性と安全性
CBDとTHCVが動物モデルで脂質とグルコースの代謝に影響を与えるということをうけ、2型糖尿病患者に対する効果を検討する実験が2016年にイギリスのノッティンガム大学やウエストミンスター大学に属する研究者らによって行われました。
この実験では、無作為化二重盲検プラセボ対照試験で2型糖尿病患者62名を5つの治療群に無作為に分け、CBDのみ・THCVのみ・2つの比率のCBDとTHCV・対照プラセボを13週間投与しました。
結果としては、CBDとTHCVが忍容性が良好であり、THCVは空腹時血糖値を有意に低下させ2型糖尿病の新たな治療薬となる可能性を示しましたが、CBDが2型糖尿病に有効であるとは結論付けていません。
このように、CBDと糖尿病に関する実験はいくつか行われている一方で、まだまだ研究は必要というのが現状なのです。
糖尿病の合併症にCBDが効果的
糖尿病にCBDが有効であるということはまだまだ研究が必要ですが、糖尿病の合併症に対してはCBDが有効であるということを示した研究がいくつかありますので、ご紹介します。
CBDが糖尿病合併症や心血管疾患の治療に有効
2010年にアメリカ国立衛生研究所で行われた研究では、1型糖尿病性心筋症のマウスを用いて、CBDが心筋機能障害や炎症にどのような影響があるのかを調べました。
結果として、CBDが心筋機能障害、心筋線維症、酸化的/窒素ストレス、炎症、細胞死、および相互に関連するシグナル伝達経路を減衰させたということが示されました。
本研究では、CBDが糖尿病合併症やその他の心血管疾患において、酸化的/窒素ストレス、炎症、細胞死、線維化を抑制することで、大きな治療効果を発揮する可能性があることを示唆していると結論付けています。
糖尿病におけるCBDの神経保護効果と網膜保護効果
2006年にアメリカで行われた研究では、糖尿病ラットを対象にCBDの保護効果を検討しました。
その結果、CBDによる治療が酸化ストレスを減少させ、糖尿病網膜における網膜細胞死と血管過透過性を抑制したなどの結果が示されました。
この研究は、糖尿病動物の神経毒性、炎症、および血液網膜バリアの破壊を減少させることを示しています。
原文:Neuroprotective and blood-retinal barrier-preserving effects of cannabidiol in experimental diabetes
他にも、CBDは多くの効果がある
糖尿病に対してどのようなCBDの効果があるのかはまだまだ研究が必要ですが、CBDは他にも多くの健康に対する効果があります。
例えば、糖尿病と同じく年を重ねるごとに症状に悩まされる方が多い関節の痛みは、CBDを経皮摂取することによって炎症を抑えたり痛みの緩和ができると言われています。
また、高血圧も同じく悩まれる方が多いですが、CBDは高血圧にも有効な可能性がいくつかの研究によって示されています。
悩んでいる症状に対してCBDは効果があるのかをぜひ調べてみてください。
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薬を飲んでいる方はCBDの摂取に注意を
最後に、CBDの注意点をご説明します。
一般的に薬には薬物相互作用というものがあります。これは、複数の薬を摂取すると、薬の効果が強まったり弱まったり、新しい副作用が出たりすることです。
2021年1月現在、日本ではCBDはサプリメント扱いではありますが、海外ではその薬理作用から医薬品として使われています。CBDも摂取すると血中に入り込み全身をめぐるので、薬物相互作用が発生すると言われています。
他の薬と比べると、CBDは単離され摂取されたり研究されてからまだ日が浅いです。そのためどの薬と飲み合わせると副作用がでるのかなどは、まだわかっていないことも多いです。
糖尿病や高血圧の薬など、常服している薬がある方は、CBDを摂取する前に、かかりつけ医に相談してください。
まとめ
本記事では、CBDと糖尿病についての関係性をご紹介してきました。現状ではCBDが糖尿病に有効であるというにはまだまだ研究が必要ですが、他にもCBDには多くの効果があるので、ぜひCBDを試してみてください。